セレーション形状は、自動車や農業機械の構成部品となるシャフトで指定されることが多い形状です。左上写真の製品はセレーション形状を持つ、スタブシャフトという製品でサイズはL：214mm、円盤部の最大外径がφ85mm、軸部の外径がφ27～62mmの製品です。

加工工程としては、熱間鍛造を施した粗材をセンタリング後、旋盤による外径の荒加工、カップ部内径加工、スプライン転造加工を経て、溝入れ及び外径の仕上げ加工を行います。さらに熱処理・セレーション部の歯切り加工を行うことで完成となる製品です。

別ページで紹介している「セレーションシャフトとスプラインシャフトの違いを解説している記事」に記載している２つの形状が両端に成形されたシャフト品です。では次に当社のセレーション加工における強みをお伝えします。

量産シャフト加工VA・VEセンターを運営する当社は、様々なシャフト製品に対して精度・品質の観点から最適な工法・設備提案を行ってきました。
特にお客様から評価をいただいている点としては、製品の試作・量産時における形状・精度・ロットに合わせた自由度の高い工法提案力が挙げられます。

セレーションシャフトであれば、
①形状とロット数量に合わせた鍛造・バー材などの素材の選定
②外径の切削加工の工程設定
③セレーション形状を加工する上での工程集約のVE提案を含む工法選定
などを考慮した工法提案を行う必要があり、①・②・③に関するノウハウが当社の強みと言えます。

では、具体的に写真のセレーション・ネジ・スプライン形状を持つシャフトを例に工法の提案内容をお伝えいたします。

本製品は、S45Cの引き抜き材（バー材）を素材として使用し、素材の切断・軸部の切削を行いました。その後、本製品のポイントであるセレーション・ネジ・スプライン形状部の塑性加工を、縦型転造盤を用いて1サイクルで加工しました。これにより月産３～４万個という製品ロットへの要求に対してお応えすることができました。また、スプライン形状部には硬度を持たせるための熱処理を施しています。複数の特長的な形状を持つシャフトの場合、部分的な硬度要求がある場合もあり、精度・硬度などお客様の要求仕様に合わせて工程設計・加工を行うことができる点が当社の強みと言えます。

この他にも形状が複雑な製品に対して、粗加工段階で鍛造素材を用いることで切削時間を短縮するVA・VE提案なども行い、QCDの観点でメリットのある提案を行っています。

セレーションシャフトの量産においては、品質保証体制も相応の要求がなされます。当社ではこれまで自動車業界を始め、農機具・産業機械関連などロット・精度要求・品質保証要件など様々なお客様とお付き合いがあり、最も厳しいとされる自動車業界においてもメーカー・Tier１メーカー様より評価をいただいてきました。

当社の品質保証体制の特徴は、先ほど挙げた様々な業界のお客様との取引実績がある点を活かした、対応力にあります。各業界により要求されるレベルは異なり、基準値・品質保証要求事項が変わればコストにも反映されてしまいます。当社では試作・量産段階の各々でお客様との密なコミュニケーションによりご要望をくみ取り、ご要望に沿ったデータ提出にて対応をいたします。